ペニー・ガム

 20世紀初頭のアメリカの生物学者シェーンハイマーが、充分な実験や検証なしに研究の結論を出す学者を批判し「ペニー・ガム」思考と呼んだ。
 これは、当時出始めたガムの自動販売機のことをさしている。ペニー硬貨を入れるとガムが出てくる。これをみて当時の人々の一部は、入れたペニー硬貨が機械の中で変質してガムになって出てくると信じていた。
 充分な検証をしなくて、現象面だけで「ペニーがガムになる」と信じるのは愚かだ。シェーンハイマーに批判された不勉強な学者は彼の前に出られなくなった。
 しかし、現在でも「ペニー・ガム」思考は残っている。日本とアジアの一部の国では今でも血液型占いが信じられているし、霊の存在を信じている人も多い。自分の理解できないことは、霊のせいにしてしまう。
 国家レベルでも、原発の安全神話はずっと信じられて来たし、福島原発の事故の検証もないまま、再稼働しようとしている。
 消費税を上げれば、税収があがり財政危機が回避できるとも信じられている。消費税が3%から5%に上がったときに税収が減ったことの検証もないまま。
 政府やマスコミの言うことを鵜呑みにして思考停止すれば、ペニーがガムに変わると信じていたのと同じ間違いを犯す。