フレグランス、アロマ、フレーバー

香りの話

 フレグランス、アロマ、フレーバー。一般的に日本語では、「香り」。あるいは広く「臭い」ですね。
 でも、珈琲の世界では、フレグランス、アロマ、フレーバーは、分けて考えられています。
 珈琲の豆を焼いた(焙煎)時やミルで粉砕したときに、感じるいい香り、ホントにいいですよね。これがフレグランス。
 淹れたコーヒーから漂う香り。これがアロマ。
 そして、コーヒーを口に含んだときに、口の中から鼻に抜ける香り。これがフレーバーです。
 たとえば、同業者の方が、お店にみえると何も言わなくても同業者だとわかります。
 一般の方とは、飲み方が違います。コーヒーを飲むときに、まず、鼻をコーヒーカップに近づけてアロマを十分に確認し、それから少量を口に含み、口の中全体にコーヒーを広げてフレーバーを確認しています(見えるわけではありませんが、仕草で)から、すぐに「あ、コーヒー関係の方だな」とわかります。

※この区別は、珈琲業界だけの話で学術的に正確かどうかは保障しませんのであしからず。

今月のお勧め珈琲

インドネシアの島、スマトラ島で1000年前にトバ山の噴火がおきました。この噴火が産んだ肥沃な火山性土壌がコーヒー栽培に適しています。そこで生育されるのが、マンデリン・トバコ。
インドネシア産のアラビカ種コーヒーの名前には「マンデリン」が付きますが、そのインドネシア産のコーヒーのなかでも、特に厳選された香味を持つコーヒーが“トバコ”です。
スパーシーな苦味とともに、コクのある、ほのかな甘味のよさが特徴。
トバコは、前述したトバ山の噴火活動によって出来たトバ高原のカルデラ湖、トバ湖から命名されたマンデリンコーヒーなのです。
研究者によると、この噴火は、トバ山の山頂の一部を吹き飛ばし、それが落ちることによって、噴火口を塞いだといわれるぐらいとても大きなものであったとざれます。 その噴火口を塞いだ土石は、現在、サモシール島となっています。
 マンデリントバコの名前の由来になったトバ湖は、スマトラ島の赤道近く、標高905mに位置して、中央部にある琵琶湖ほどのサモシール島をいれると湖全体の表面積は琵琶湖の約3倍(1,740km2)になります。 最も深い所は529m、透明度が10mをこえるという美しい湖です。
 トバ湖に映えるダイナミックな夕焼けは、一度見たひとには生涯忘れられないほどの美しさといいます。 
 その火山性の肥沃な土壌に根付いたマンデリン・コーヒーが今月のお勧めコーヒー。 トバ湖の雄大な美しい夕焼けを想像しながら飲む珈琲の香りは格別のものと思います。

 マンデリンコーヒーは数年前、週刊誌で、飲むと痩せるコーヒーとして紹介されました。その時は、当店を含め、多くのコーヒー店から、一時、マンデリンが品薄になりました。もちろん、コーヒー自体に脂肪分解の効用があると言われていますから、まったく根拠がない話とは思いませんが、女性のダイエット志向に驚きました。でも、砂糖やミルクを入れたら逆効果だと思います。

マンデリントバコ 450円/100gを   430円で